首都圏近郊で一人暮らしをしている女性が、大地震によって、避難所生活を余儀なくされたらどう行動すればよいのでしょうか?
みなさんこんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
今回は、「ライフラインが止まった時の対処法」をご紹介していきます。災害時にライフラインが止まってしまったとしても、生活に困らないようにするために、事前の備えや知識を蓄えることが必要です。
ライフラインが止まってしまうと、こんなことに困る可能性が
大規模な災害が発生した場合、水道・ガス・電気など生活に欠かせないライフラインが停止してしまうことがあります。そうなると、生活の中で次のような支障が発生する可能性があります。
水道が止まった場合
水道が止まった場合、以下のようなことに困ると想定できます。
1. 飲料水がなくなる
2. トイレが流せなくなる
3. お風呂に入れなくなる
4. 調理・洗い物ができなくなる
5. 洗濯ができなくなる
6. 歯が磨けなくなる
災害時に、飲料水の蓄えは1人当たり「1日に3リットル」必要と言われています。そのため、飲料水の確保ができなくなれば、夏場は体調不良や脱水症状を起こしやすくなるリスクが高まります。
また、トイレの排泄物を流せなくなるため、紙詰まり・大便のつまりなどが発生し、不衛生な環境になってしまうことも。
その他にも、お風呂や歯を磨けないことから体を清潔に保てなくなる場合もあるでしょう。水を使った調理もできなくなるため、缶詰など水を必要としない食事に頼ることになります。
参照:【首相官邸】防災特集
電気・ガスが止まった場合
電気・ガスが止まった場合、以下のようなことに困ると想定できます。
1. 停電が発生する
2. 洗濯機・冷蔵庫など家電が動かない
3. お風呂の水を温められない
4. 加熱調理ができない
電気が止まることで、部屋の明かり・街灯など、全ての照明がつかなくなくなってしまいます。また、洗濯機や冷蔵庫などの電気を必要とする家電類も使用できなくなるため、洗濯物が選択できなかったり、冷蔵・冷凍が必要な食料品の保存ができなくなったりします。
夏場であれば、クーラーや扇風機が使用できなくなるため、体調不良や脱水状態に陥る危険性が高まります。冬場であれば、こたつやストーブなどの暖房器具が使用できなくなるほか、お風呂の水も温めることができないため、冷たいシャワーで体を洗うことになり、同じく体調不良を引き起こす原因となります。
そのほかにも、加熱調理ができなくなるため、レトルトや缶詰などの非常食に頼らなければならなくなります。
電波が止まった場合
電波が止まることで、携帯やPCなど全てのネット接続や電話・メールの利用ができなくなります。
そのため、非常時でも親類や友人に連絡をとることができず、相手の安否確認や自分の安否状況を伝えることができません。
また、ネットが利用できないことで災害の被害状況や、今後の復旧状況など災害に関する情報を入手することができなくなります。
ライフラインが復旧するまでの期間は?過去の災害の事例を元に検証
では、災害によりライフラインが止まってしまった場合、どれくらいの期間で復旧するのかを、過去の3つの災害の事例を元に解説していきます。
阪神・淡路大震災の場合(1995年1月17日)
電気 | ガス | 水道 |
2日 | 61日 | 37日 |
東日本大震災の場合(2011年3月11日)
電気 | ガス | 水道 |
6日 | 34日 | 24日 |
熊本地震の場合(2016年4月14日)
電気 | ガス | 水道 |
6日 | 16日 | 約3ヵ月半後 |
過去に起きた3つの災害のライフライン復旧期間を比較してみると、電気の復旧は1週間以内に行われており、最も早いですね。また、電気・水道の復旧は電気の回復以降となる予想ができます。
参照:【内閣府】防災情報のページ(PDF)、【総務省】ライフライン等の被害状況
ライフラインが止まった時に備えて事前に用意しておくもの
災害の被害によりライフラインが止まった場合、どのようなことに困るのかを紹介しました。では、ライフラインが復旧するまでに、災害時に生活に困らないようにするための事前の対策や備えを解説していきます。
水道が止まった場合に役立つ備え
水道が止まった場合、以下の対策・備えを取っておくことで役立ちます。
お風呂の浴槽に水をためておく
災害が発生した直後、水道がすぐに止まってしまうわけではないため、安全を確保できるのであれば、自宅のお風呂の浴槽に水を貯めるようにしましょう。浴槽だけではなく、ペットボトル・ボウル・バケツなどでも良いですね。
また、日頃からお風呂に入った後は、浴槽の水を流さずに1日置いておくことも備えにつながります。貯めておいた水は、水道が止まってしまった場合にトイレを流す水や、体を洗う時に使用できます
3日~1週間分の水を備えておく(1日3リットル)
災害時に飲料水の蓄えは、1人当たり「1日に3リットル」必要だと説明しました。水道が止まってしまっても困らないようにするために、日頃から3日〜1週間程度の飲料水の備えを行なっておく必要があります。
また、災害時は給水車から水を支給してもらえる場合もあるため、水を貯めておけるタンクや給水袋を合わせて用意しておくこともおすすめ。
災害時に役立つアイテムを備えておく
水道が止まることで、「トイレの水が流せない」「お風呂に入れない」「歯磨きができない」などの状況に陥る可能性があると紹介しました。そのため、簡易トイレ・体拭き用シート・ドライシャンプー・口腔ケア用シートなどを用意しておくといいでしょう。
また、食事の前や手が汚れてしまった際に、手を洗うことができないため、除菌シートも合わせて用意しておけば、手を清潔に保つことができますね。
電気・ガスが止まった場合に役立つ備え
電気・ガスが止まった場合、以下の対策・備えを取っておくことで役立ちます。
ガスコンロ・ガスボンベを備えておく
電気やガスが止まることで、キッチンのIHやガスコンロが使用できなくなるため、ガスコンロ・ガスボンベを備えておきましょう。
そうすることで、災害時でも加熱調理が行えて、温かい食事を用意することができます。災害時はストレスがたまりやすくなるため、温かいものを食べることだけでも、ストレスの軽減につながります。
また、ライフラインの復旧が長期化することを考えて、ガスボンベは多めに用意しておくようにしてください。
過去の災害のデータを見ると、ガスよりも電気の復旧の方が早いと予想できるため、電気で利用できる調理器具・暖房器具を揃えておくこともおすすめします。
LEDランタンを備えておく
停電に備えて、LEDランタンを用意しておきましょう。夜になると、外に限らず室内も真っ暗になり危険です。その状態が長期間続く可能性もあるため、1つでも明かりを用意しておけば安心ですね。
携帯ラジオを備えておく
TVなどが利用できなくなるため、災害の情報を入手することができなくなります。そのため携帯ラジオを備えておけば、災害時でも情報を入手することができるでしょう。電池タイプのものもあれば、手回し充電タイプのものもあります。
電波が止まった場合に役立つ備え
電波が止まった場合、以下の対策・備えを取っておくことで役立ちます。
ポータブルソーラー発電機やポータブル充電器などを備えておく
携帯電話やスマホの充電は、たとえ使用していなかったとしても、時間とともに減っていってしまいます。そのため、電波が復旧したとしても、いざという時に使用できないことも。
そんな時のために、ポータブルソーラー発電機やポータブル充電器などを備えておくことで、携帯電話やスマホの充電ができます。それ以外にも、さまざまな電気製品を充電することも可能ですね。
電波が使用できない際の知識を備えておく
携帯が長期間利用できないと判断されると、72時間以内に無料で利用できる無料Wi-Fi『00000JAPAN』が解放されることはご存知ですか?
こういった、災害時に携帯が利用できない、または使用しにくい状態の時に活用できるサービスなどの知識を備えておくことも大切です。
参照:TIME &SPACE
ひとりで大規模災害に直面した際、さらにライフラインまで止まってしまうとなると、不安でいっぱいになります。
「どうやって生活すればいいの….」
と、ならないためにも、ライフラインが止まることを想定した備えを日頃から行っておく必要があります。また備えだけではなく、災害の知識を取り入れておくことも重要です。
災害に対する予備知識はこちらからチェック
知っておきたい防災の知恵
《災害発生前》
①ライフラインの停止に備えて準備しておきたいアイテム
②非常用持ち出し袋に用意しておきたいアイテム
《災害発生時》
③怪我をした際の応急処置法
④家族や友人に連絡を取る方法
《災害発生後》
➄避難所で支給される食料・物品について
⑥避難所でのお風呂やトイレについて
⑦避難所生活に役立つアイデア
⑧避難所での女性問題(性被害など)
⑨自身が行う救助活動・ボランティア活動
⑩自宅の後片付けについて