質問:お部屋探しで譲れない条件ってなんですか?
不動産屋さんから見て、お部屋探しで譲れない条件はなんですか?
とても興味深いご質問、ありがとうございます!
一般論では回答できないので、私たちそれぞれの「譲れない条件ランキング」を順番に発表していきます。
今回は第3回「室内編」です。
前回の「立地編」では、周辺環境など、お部屋の外のことが中心でした。今回は、設備や広さなど、室内のことに関するランキングを発表します。
お部屋探しのヒントにしてください!
カーサミア編集部は全員が宅建士(おうちに関するプロ)です。
このQ&Aシリーズでは、いままで、お部屋・住まい・不動産に関する一人暮らし女性の疑問に、宅建士として回答していました。
しかし今回のご質問は、個人の価値観が強く反映される部分。
ですので、宅建士としての回答・解説というよりは、不動産会社でいろいろな物件を見て、実際に一人暮らしで何度か引っ越しをしている個人としての体験談をお答えします。
「総合編」「立地編」「室内編」の3回シリーズでお届けしますので、お部屋探しの参考にご覧くださいね。
※「家賃」は今回のランキングからは除いています。家賃は「譲れる・譲れない」を自分で決められる条件ではないと考えているからです。同じ家賃ならどの条件を優先させるか…のランキングとしてご覧ください。
回答:宅建士女子3人が考える、お部屋の条件ランキング
パターン1 お部屋の広さ(畳数)や収納の大きさより、フィーリング重視
まずは私の条件ランキングを発表します。
お部屋の広さ(畳数)や収納の大きさよりも、暮らしやすさと居心地が重要だと思います。だから間取り図だけでは判断できません、実際に内見して「感じる」部分がとても大切です。
1位 | 建物や室内の雰囲気が好みで、暮らしがイメージできる |
2位 | 玄関が広めで、収納がある |
3位 | 独立洗面台がある |
4位 | 収納の形が使いやすい |
5位 | キッチンに家電を置くスペースがある |
1位:建物や室内の雰囲気が好みで、暮らしがイメージできる
言葉として表しにくいものですが、よく言う「フィーリング」を大切にしています。
部屋に入ったときの感じ方+生活がイメージできるかが、最重要ポイント。
ここをクリアできれば他は寛容になれるくらい、大切な条件です。
皆さんもお部屋探しの時に、部屋に入ってみて「ここはナシだな」「いいかも」と感じたことがあると思います。私はその感覚をとても重視しています。
ちょっと極端ですが、2位から5位の条件がすべて揃っていても、お部屋に入ったときにフィーリングがイマイチだったら、私はその部屋を選びません…!
2位:玄関が広めで収納がある
3位:独立洗面台がある
4位:収納の形が使いやすい
5位:キッチンに家電を置くスペースがある
これらは、より暮らしやすくするための条件です。
あれば嬉しいけれどなくても大丈夫。もし叶わなくても工夫で補完することが可能です。
ということで、とにかくフィーリング重視、です。
フィーリング重視って、かなり曖昧な感じに見えますね(笑)
でも本当なんですよね。立地さえ抑えてれば室内は「フィーリング」です。
言い表すのは難しいですが、お部屋に入った瞬間に「ここは違うかな…」という気持ちになること、確かにありますよね。
あれば嬉しいけれど、なくても工夫次第で補完できる部分ってたくさんありますよね。
パターン2 自分が絶対に避けたいNG条件を明確に
次は、私の条件ランキングですね。
私は「どんな条件が絶対に嫌か」で自分にとってマストの条件を決めてから、「よりよい」の条件を探していくようにしてます。
理想を見ていくとキリがなくなってしまうので…!
1位 | 風呂トイレ別 |
2位 | 室内に洗濯機が置ける |
3位 | (南向きで)明るい&窓が大きい&開けられる |
4位 | キッチンの使い勝手 |
5位 | 部屋の収納が大きい |
1位:風呂トイレ別
お風呂はのんびり入りたいので、シャワーカーテンを使うのは嫌です。
トイレットペーパーや生理用品など、湿度に弱くて別の場所に置くのは面倒ですし、友達が来た時にトイレが使いづらそうなのも…。
2位:室内に洗濯機が置ける
週末は洗濯してる間に買い物に行くことも多いので、ベランダや共用廊下にあるのは心配です。
また、洗濯機自体が汚れるのも避けたいです。
3位:(南向きで)明るい&窓が大きい&開けられる
明るくないと本当に元気が出ないので、晴れの日でも暗い部屋はNG。
基本的に雨の日以外は毎朝窓を開けて風を通したいですね。
4位:キッチンの使い勝手
具体的には、
・2口コンロ(できればガス)
・作業スペースがある
・窓がある
・コンセントがある
・収納がある
です。
ごはんが好きなので、料理をしやすい空間でありたいです。お菓子も作るので、作業スペースと器具もしまえる大きめの収納が欲しいですね。
窓があると換気ができてとてもよいです。
コンセントについては、冷蔵庫・レンジのほかにも、オーブントースター・電子ケトル・ハンドミキサー・コーヒーメーカー等々コンセントを使う物って何かと多いので、少ないと詰みます。たくさん、そしてできれば別回路のコンセントがほしいですね。
5位:部屋の収納が大きい
私は絶対にこたつが欲しいんですけど、夏用・冬用の寝具、洋服のほかに、こたつ布団一式もしまうためには、大きい収納がないと厳しいので。
1~3位は、ほぼ同率マストです。私にとって絶対譲れない部分…!
4位のキッチンの条件も細かい…!
こだわりのお部屋って感じがします。
快適に生活できそうな条件たちですね…!
ここまで具体的な条件でマストもあると、エリアを少し広げるか、駅から15分は歩かないと物件がないかもしれませんね。
パターン3 築年数である程度絞って、あとは水回り重視
最後は私の条件ランキングです。
基本は水回り重視です。でも前提条件として、ある程度新しい物件に住みたいです。
1位 | 建物の断熱性能(築30年以内くらい) |
2位 | キッチンが広い |
3位 | お風呂が高機能 |
4位 | 玄関と部屋の間に扉がある |
5位 | 都市ガス |
1位:建物の断熱性能(≒築30年以内くらい)
「室内」のことか?というツッコミが入りそうなんですけれども。書かせてください。
「総合編」でも書いたように、断熱性能と、お部屋の住み心地は無関係ではないと感じています。
もちろんその物件の構造・窓の造り・断熱材の質にもよるので、築年数だけでは判断できないです。でも傾向としては新しい物件のほうが断熱性能がいいことが多いですから、私はお部屋探しの最初の段階で、まず築年数で絞っています。具体的には築30年以内。これくらいの築年数であれば、それなりの断熱性能を期待できる建物が多いです。
古い物件では窓際・壁際が寒いので、結局全部コタツの周辺に持ってきちゃって、実質で使える部屋の広さが狭かったんですよね。新しいお部屋のほうが、隅々まで使えるので結果的に広く感じられるというのが実感です。
リフォーム済み物件でも、たいていの場合は断熱リフォームまでしていないので、「寒さ」の問題は解決しないんですよね。
ですから、古くて広いお部屋よりも、一回り狭くても新しくて断熱性能のいいお部屋を選びます。
2位:キッチンが広い
具体的には、
・作業スペースが広い
・収納がある
です。
日々の暮らしで一番大切にしているのが手作りごはんなので、キッチンの使い勝手にはこだわりたいですね。
作り置きを週末にたくさん作る派なので、ものを広げられる作業スペースはとても重要だと思っています。家電を置けることも大事ですが、いろんなものを広げたい気持ちが強いので「作業スペース」と呼んでいます。
2口コンロについては、以前は必須だと思っていたのですが、最近になって電気調理鍋を手に入れたら便利すぎて。これがあればコンロは少なくてもいいかも?と思い始めています。
3位:お風呂が高機能
私は過去にいろんな物件に住んだことがあります。3点ユニットバス・2点ユニットバス・バランス釜・追い炊き機能なし、などなど…。
それなりに工夫して十分に住めていたので、3点ユニットでも住めると思っています。あれはあれで便利な部分もありますし。
でもやっぱり、できるだけ高機能なほうが、住み心地がよくなると思います。
特に浴室乾燥機はなるべくほしいですね…!
あの便利さを知ってしまったので、もう浴室乾燥機なしの生活には戻りたくないです。
4位:玄関と部屋の間に扉がある
玄関を開けてすぐに家の中が見えるお部屋だと、宅配便の人が来るときなどにプライバシーが気になります。扉1枚ほしいですね。
5位:都市ガス
プロパンガスは、気を遣わないと光熱費がとんでもない金額に跳ね上がってしまうので…。
引越し回数が増えるに従って「前よりいいお部屋じゃないと引っ越す意味がない」という気持ちになって、どんどん求める条件がグレードアップしている自覚はあります。笑
玄関と部屋の間の扉って内見の時はあまり気付かないんですよね…。
一度住んだ時に冷房も全部玄関まで行くのが嫌で、結局突っ張り棒+カーテンで仕切って住んでました。
お部屋探しの条件で「建物の断熱性能(築年数)」を重視する理由
築年数は目立たない部分なので妥協する人が多いのですが、私は気にしなさすぎて、断熱性能の面でもそれ以外の面でも、大いに後悔した経験があるのでお伝えしますね。
築60年の家賃激安マンションに住んだことがあります。
10年ほど前のことです。当時の状態で築60年超、1950年台初頭に建てられたマンションでした。2年以内の取り壊しが決まっていて、時期が来たら退去が必須。
でも家賃は周辺の築浅マンションと比べれば半額以下。しかも広い。そして陽当たり抜群。
最初は「掘り出し物件だ!」と思いました。
入居前に感じていた最大のデメリットは、洗濯機置場がないこと。
家庭用洗濯機が一般に普及する前の時代に建てられたので、外置き洗濯機ですらなく、本当にどこにも置場がありませんでした。案内してくれた不動産屋さんによると、洗濯機は廊下に置いて、お風呂に洗濯機の排水ホースを突っ込んで使うとのことでした。
お風呂のたびに洗濯機のホースを片付けるのは不便ですが、でも2年弱の居住期間でしっかり貯金できそうだからいいか、と思いました。
…しかし、半年ほどで逃げ出しました…。
使い勝手が悪いなんてレベルではなかったです。理由は洗濯機…ではなく、まったく意識していなかった「断熱性能」が原因でした。
断熱性能が低いため、冬になると部屋の中がめちゃめちゃ寒くて、コタツの周りでしか生活ができなくなりました。せっかくの広いお部屋なのに…。
そして壁への結露がすごかったです。壁そのもの全面が結露しました。壁全面の結露に対処しきれなかった結果、服や布団にカビが生えてしまいました。カビ取りクリーニング代が、これまた結構な出費で…。
もうひとつの理由として、宗教の勧誘がすごかったことも嫌でした(取り壊しの決まっているマンションに引っ越してきた貧乏人だと思われて、狙われていたのかもしれません…)。
取り壊しの時期が近付くにつれ、入居者がどんどん少なくなっていて、周りに人がいない状態で勧誘されるのを怖く感じるようになってきました。
結果、入居から約半年で限界を迎え、逃げるように引っ越しました。
…という経験をしたので、築年数は妥協しない方がよいと思います。
もちろん、「あえて古民家・レトロマンションに住みたい!」というのはアリだと思います。すてきな冒険、心躍るチャレンジですよね。でも強い意志がないまま、私のように家賃につられて築年数を妥協するのはオススメしません。
築年数を妥協しないと言っても、「絶対に築10年以内」などと思う必要はないです。築30年以内くらいでも許容範囲だと思いますよ。
編集部の「お部屋探しの条件ランキング【室内編】」は、3人それぞれに個性が出ました。
どうせ引っ越すなら今よりいい条件のお部屋がいいな…となりがちですが、理想を挙げればキリがないのも事実。もちろん妥協しすぎるのはよくないですが、少しくらい妥協しても意外と大丈夫な部分も多いです。
室内の設備や間取りに関する条件は、「叶わなくても工夫で補える」部分も大きいです。たとえば「お風呂・トイレ・洗面台」が一緒になった3点ユニットバスでも、快適に暮らす工夫はできます。
でもやっぱり、理想も追いかけたいですよね~~
過去にご案内したお客様の「こんな間取りに住みたい」というご要望を詰め込んで企画した、「一人暮らし女性の理想的な間取り」はこちらの記事にまとめています。参考にしてくださいね。
そして条件や間取り図だけは決めず、最後には実物を見て選んでほしいと思います。
すてきなお部屋が見つかりますように!