防災グッズを用意したいけれどたくさんありすぎて、どれが本当に必要なものかわからないという方も多いのではないでしょうか。また、高い防災グッズを買ったのに、実際には使わなかったとはなりたくないですよね。
こんにちは、カーサミアライターのえなです。防災士という防災系の資格保有者である私が、防災に関する疑問を解決していきます。
今回は、「いらない(優先度が低い)と判断した防災グッズ」に関して紹介します。無駄な防災グッズを購入せずに、本当に必要なものだけを揃えられるよう、ぜひ防災グッズ選びの参考にしてみてください。
質問:「これはいらない」と思う防災グッズは?
いろいろな防災グッズがあって迷います。「買ったけどいらなかった」「これは買わなくても大丈夫」と思うものはあるでしょうか?参考にしたいので教えてください。
防災グッズはいろいろあるため迷ってしまいますよね。防災士の私が「いらない」とまでは言い切れなくとも、「優先度が低い」と思う防災グッズについて、紹介します。
回答:いらない(優先度が低い)防災グッズについて
実際に私自身が買った防災グッズや、客観的に見て判断した防災グッズの中から、「優先度が低い」と感じた防災グッズを9選紹介していきます。
今回、優先度が低いとご紹介するのは実際に使う機会が少なかったり、他により良いアイテムがあったり、一人暮らしの女性には不向きなグッズが多いです。
具体的には、「テント、手回し系のグッズ、ナイフ、ロープ、大容量の水、ローソク・マッチ/ライター、コンパス、携帯用浄水器、ポータブル電源」です。
ただし、一般的に「優先度が低いもの」ではっても、すべての人に必要ないわけではありません。人によって異なることがあるということを前提に、参考にしてください。
いらない(優先度が低い)防災グッズ9選
優先度が低い防災グッズ1 テント
「災害時に寝泊まりできるよう」「避難所でプライバシーを守れるよう」にと、テントが必要だと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、避難所に行けば基本的に野外で寝泊まりすることはほとんどないため、テントの必要性は低いです。
また、以下の過去記事でもお伝えしましたが、災害時はライフライン断絶や警察や消防などの公的機関が救助優先になることなどが要因で、被災地のセキュリティが下がる可能性があります。その結果、犯罪に巻き込まれる可能性があるのです。
災害時に、もし野外で女性が一人でテントで寝泊まりしていると、危険な犯罪者に知られてしまった場合、窃盗や性犯罪にあってしまう危険性もあります。そのため、もし避難所に行きたくないから外でテントで過ごしたいという方がいても、災害時の女性の一人行動はあまりおすすめできません。
また、避難所内で個室スペースを確保するためにテントを使いたいと思っても、そもそも広げるスペースがなかったり、避難所によってはテントの設置が禁止されていたりすることもあります。
プライバシーを守る目的であれば、テントを用意するよりも以下のようなグッズが効果的でしょう。
その他にも、女性一人だと災害時に持ち出すのが大変などのデメリットもありますよね。そのため、テントを用意するよりも、避難所で少しでも快適に就寝できるよう寝袋・エアーマットを優先して用意するのがおすすめです。
優先度が低い防災グッズ2 手回し系のグッズ
手回しラジオ、手回し懐中電灯、手回し充電器など手回し系のグッズは、電池や充電を必要としないためライフラインが途絶えた災害時でも利用でき便利そうですよね。
しかし、便利だといっても利用するためには、自分で手回し続けないといけないため、ある程度の体力が必要になってきます。災害時はストレスなど様々な要因で体力が低下してしまう事が考えられます。そんな大変な中でさらに自分の体力を削ってしまっては、体調不良に繋がりかねません。
そのため、ラジオ、懐中電灯、充電器を用意するなら手回しよりも、通常の電池式のものや充電式のものを用意するほうがおすすめです。また、電池式を用意する際には十分な量の電池も併せて用意しましょう。
優先度が低い防災グッズ3 ナイフ
ナイフは災害時に調理など何かモノを切る際に使えますが、実際に利用する場面は少なく用意する優先度は低いと考えます。
また、災害時には持ち出しても大丈夫ですが、正当な理由なく刃物を持ち出すのは銃刀法違反に反する可能性があるため、用意するのであれば取り扱いには注意が必要です。
出典:刃物の話 警視庁
もし用意するのであれば、ナイフのみの機能だけではなく多機能な防災用の万能ナイフを用意するのがおすすめです。
万能ナイフとは、ナイフとしての機能だけでなく、缶切り・ドライバー・ピンセット・栓抜き・はさみ・のこごりなど、多機能なツールが一つになっているものです。何気なく必要になるものが、コンパクトに用意できるため災害時にも大いに役立つ可能性があります。
優先度が低い防災グッズ4 ロープ
ロープは、災害時の救助活動で役立つアイテムです。しかし、ロープを正しく取り扱うためには専門知識と訓練が必要です。たとえば救助の際に、頑丈に結ぶ正しい方法を知らないまま使用してしまうと、かえって危険にさらしてしまう可能性もあります。
そのため、いざという時にロープを役立てられる可能性は低いため、優先して用意する必要はないでしょう。
もし、救助活動以外で何かを縛る目的でロープを用意したいのであれば、ガムテープ・布テープを優先して用意するのがおすすめです。ガムテープであれば、応急処置・補修作業・目印としてなど様々な場面で役立てられるため、ロープよりも災害時に活躍する可能性が高いです。
優先度が低い防災グッズ5 大容量の水
災害の影響で、断水してしまい水の確保が難しくなった場合、大容量の水を沢山用意しておけば安心ですよね。しかし、ウォーターサーバー用などの10〜20リットルなど大容量の水を用意していても、一人暮らしの女性にとっては持って運ぶとなった際に大変です。
そのため、運びやすく使い切りやすい500ミリリットルを3日〜1週間程度分、優先してたくさん用意するのがおすすめです。
優先度が低い防災グッズ6 携帯用浄水器
携帯用浄水器を用意しておけば、災害時に万が一水の確保が難しくなった場合でも、川などの水を濾過して飲めるようになるため便利です。しかし、実際に災害時に利用する場面は少なく、災害時に浄水器が役立ったなどの声もあまりないため、用意する優先順位としては低いです。
浄水器を優先して用意するよりも、断水に備えて十分に500ミリリットルの飲料水を用意しておくほうがいいでしょう。
優先度が低い防災グッズ7 ローソク・マッチ/ライター
ローソクやマッチ/ライターは、停電時に室内を明るくする際に役立ちますね。しかし、火を利用するため取り扱いに注意しないと火事の危険性がありますし、水が不足している場合は火消しができないなどのデメリットもあります。
室内を明るくできるアイテムを揃えたいのであれば、ローソクやマッチ/ライターを用意するよりも、電池式や充電式の懐中電灯やランタンを優先して用意するのがおすすめです。
また、懐中電灯で室内の広範囲を明るくしたいという場合には、「警視庁警備部災害対策課」がTwitterで紹介してくれている方法がおすすめです。「水入りペットボトル+懐中電灯」を組み合わせることで、光が乱反射し火を使わずに安全に室内を明るくできます。
優先度が低い防災グッズ8 コンパス
コンパスは、ライフラインが断絶しスマホで地図アプリが見れなくなった際に役立ちますよね。しかしコンパスは方角だけしかわからない、そもそも自宅周辺の馴染みのある場所ならば、必要性がないなどのデメリットがあります。
そのため、方角や現在地を知りたいのであればコンパスよりも、オフラインでも利用できる地図アプリを事前にスマホにダウンロードしておいたり、災害時に被災地で無料で利用できる「00000JAPAN」などを活用したりしましょう。
オフラインでも利用できる地図アプリとしては、東京都に限定されてしまいますが「東京都防災アプリ」がおすすめです。避難所などの防災施設も確認できる防災マップが用意されています。
「東京防災アプリ」は他にも様々な機能を揃えていますので詳細は「これで安心!プロおすすめの防災アプリ、ベスト3【2021年版】」をご確認ください。
優先度が低い防災グッズ9 大容量ポータブル電源
災害の影響で停電してしまうと、「明かりがつかない」「スマホなどの家電が使えない」などの問題が発生しますよね。そのため、災害時でもスマホや家電が利用できるよう大容量のポータブル電源を用意しておくと安心…と思うかもしれません。
しかしポータブル電源は価格が高いことや、一人暮らしの女性にとっては持ち運びに不便などのデメリットがあります。また、ライフラインの中でも電気は比較的復旧が早いとされているため、用意していてもそれほど活躍しなかったという声も見かけます。
そのため、高価で大容量のポータブル電源を用意するよりも、停電時でも情報収集などに欠かせないスマホだけでも利用できるように、持ち運びやすい小型のポータブル電源やモバイルバッテリーを優先して用意するのがおすすめです。
大容量ポータブル電源を検討するなら、こちらのサイトが情報豊富ですよ。アウトドアから防災まで、役立つポータブル電源の情報を発信しています。
災害用の大容量ポータブル電源はJackery(ジャクリ)
必要な防災グッズは人それぞれ異なる
買わなくてもOK(かもしれない)防災グッズとして、9つのアイテムを紹介しました。
買わなくてOKと紹介していますが、あくまで利用する機会が少なかったり用意する優先度が低いためであり、「いる」か「いらない」かは、人それぞれによって異なります。
「自分なら災害時にこの場面で必要になる」「災害時にどのぐらい利用できるか」など、自分にとっての必要性を考えながら、今回ご紹介した9個の防災グッズについて「いる」「いらない」を考えてみてください。
揃えておくべき防災グッズを紹介
いらない防災グッズだけでなく、絶対に用意しておくべき防災グッズも知りたいという方もいるのではないでしょうか。
そんな方のために、過去の記事では用意しておくべき防災グッズを紹介しているので、参考にしてみてください。
また最近、逆に「災害時になくて困ったものは?」という質問を受ける機会がありました。そこで実際に被災した方にアンケートを実施し、「災害時になくて困った防災グッズ」をランキングにまとめましたので、併せてご覧ください!
防災グッズはただただ便利そうという理由だけで、揃えてはいけません。そのアイテムが、災害時のどのようなシーンで活用できるのか、他のものより優先して用意すべきものなのかなど、本当に災害時に役立つアイテムなのかを判断し用意しなければなりません。
いざという災害時に、用意している防災グッズをしっかり役立てられるように、用意するべき優先度も考え、優先順位が高いものから用意するようにしましょう。
- Q防災士が「いらない」と思った防災グッズは?
- A
具体的には、「テント、手回し系のグッズ、ナイフ、ロープ、大容量の水、ローソク・マッチ/ライター、コンパス、携帯用浄水器、ポータブル電源」です。
ただし、一般的に「優先度が低いもの」ではっても、すべての人に必要ないわけではありません。人によって異なることがあるということを前提に、参考にしてください。